誰かを好きになるということ。

もう4,5年前の話だけど、ものすごく好きな人がいた。

今でもその人のことを忘れられない訳ではないんだけど、それ以来人を好きになれていない。

なんでそんなにその人のことを好きだったのかは今となってはわからないけどずっとその人のことを考えていたし、気がつけば会いに行っていた。

それから何年かして、彼から結婚する、子供が生まれると連絡があった。

素直におめでとうって思ったし、正直にそう伝えた。

その時にふと思った。

私は本当に彼のことが好きだったんだろうか。

あんなに好きだと思っていた気持ちはどこに行ってしまったんだろう。

好きだったころは気が付かなかったけれど、当時の感情はある意味崇拝に近かったのかもしれない。

大抵の人のことを嫌いにならない私は、崇拝くらいの好きじゃないと気がつかない。

きっと寂しかったんだと思う。

でもそんな風に人を好きになっても心の空洞は埋まらない。

寂しいから独りなんじゃない。

どんなに誰かのことを思っても、いつかは忘れる。

彼を好きだったこともきっと忘れてしまう。

人を好きになれない私は孤独なのかもしれない。

でもその孤独を癒してほしいとは思わない。

拭い去って欲しいわけでもない。

もう寂しいからって人を好きになったりはしない。

究極のわがままをいうと、まるで空気のようにそこにいてくれて、いなくなったことすらわからないくらい優しい人を好きになりたい。

そんな人を好きになれたら、どんなに離れていても、ずっと一緒に居られると思う。